<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 阿部青鞋

阿部青鞋俳句集1

いつとなくたがひちがひの浮寝鳥

いづれともなきところにて足袋を穿く

くさめして我は二人に分かれけり

すぐ先を目ざしておよぐ目高かな

その父のむつつりと見る赤ん坊


どきどきと大きくなりしかたつむり

ねむれずに象のしわなど考へる

ひたいから嬉しくなりてきたりけり

みんなみの暗きよりきて風ひかる

一匹の穀象家を出てゆけり

阿部青鞋俳句集2

三日月が時には足の近くにあり

参考に一つの星が流れけり

夏草の下にあるべきピンセット

大花火天を感じてのちこぼれ

室内を歩いて夏を待ちにけり


少しづつあらはに積もるみぞれかな

悲しみは我にもありとむかでくる

想像がそつくり一つ棄ててある

或る時は洗ひざらしの蝶が飛ぶ

正直に花火の殻が落ちてゐる

阿部青鞋俳句集3

河童忌の日の当たりゐるところかな

海溝に貝の墜ちゆく夏の夢

涼しくて胸にちからを入れにけり

炎天をゆく一のわれまた二のわれ

片あしのおくれてあがる田植かな


秋晴や蝶はつめたきところより

空気のみ容れたる壺を飾りおく

空蝉のなかにも水のひろがりて

虹自身時間はありと思ひけり

赤ん坊二倍の乳を吐きにけり

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