<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 横山白虹

横山白虹俳句集1

雪つけて杉の枯穂の舞ひおつる

浪のりは鋭き口笛をならしたり

夕暮の莨はあましかけす鳴く

ラガー等のそのかちうたのみじかけれ

颱風の広間の闇のアマリリス


栗青し一本足に立つ木々よ

舗道濡れ青い蝗が一匹ゐる

綿雲の中より梅の枝を折る

枯草の日に汝が瞼はぢらひぬ

枯草の一すぢ指にまきてはとく

横山白虹俳句集2

黒髪に挿すはしやみせんぐさの花

滝浴びし貌人間の眼をひらく

夕桜折らんと白きのど見する

吊革にごとりとうごく梅雨の街

秋あつし亀甲泥をのせて這ふ


空梅雨に黄なるネクタイひるがへす

新雪のきしむはひとのたなごころ

アドルムを三鬼にわかつ寒夜かな

石蕗の花心の崖に日々ひらく

ボートより菓子の袋を漂はす

横山白虹俳句集3

きらめきて月の海へとながるゝ缶

扇風機籠のレモンに風送る

月光をのせて来し蛾のうすみどり

永き日よ校庭の椅子うごき出せ

石膏像の眼玉の白き文化祭


蜂追ひし上衣を肩にして歩く

原爆の地に直立のアマリリス

コスモスに夕日はいつも揺れて落つ

浴場の玻璃をぬぐへば烏賊釣る火

髪かざるにはさみしくて笹の花

横山白虹俳句集4

浴槽の玻璃のむかうに蛾の眼玉

ひらひらと御嶽の裾に捕虫網

蹄跡のつづくに濡れてゐる砂丘

赤のまま双手はうしろポケットに

空港に着けば酒ありなまこ食ふ


ショール載すうごく歩道の荷の上に

天井へ浮いてはりつく師走の夢

歌童サイト内 検索フォーム
カテゴリ
カテゴリ別記事一覧
株主優待券