<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 冬

「冬萌(ふゆもえ)」は、俳句歳時記の季語「冬・晩冬」、「龍の玉」、「滑子(なめこ)」は「冬・三冬」です。

晩冬の頃、枯れた草木のなかに緑の芽を見ることがあります。「冬萌(ふゆもえ)」です。春の気配ですよね。

「龍の玉」は「龍(蛇)の髭の実」とも呼ばれ、冬に球状の碧い実をつけます。山野に自生し、また庭草として植えられます。

「滑子(なめこ)」は、モエギタケ科スギタケ属のキノコ。ブナ・ナラの枯木・倒木・切株に固まって生えます。味噌汁・なめこおろしなどに佳いものです。

では、俳句です。

冬萌や朝の体温児にかよふ       加藤知世子

冬萌や海と平らに仔牛の背       須並一衛


龍の玉深く蔵すといふことを       高浜虚子

日当たりの土うきうきと龍の玉       山田みづえ

龍の玉沈めるこころ沈めおく       石田いづみ


霧さむき月山なめこ食ひ惜しむ       加藤楸邨

昏(くら)きよりなめこを摑む女の手     野澤節子


ナメコ


「石蕗(つわ・つわぶき)の花」は、俳句歳時記の季語「冬・初冬」です。

「石蕗(つわ・つわぶき)の花」は、キク科ツワブキ属の常緑多年草。海辺などに自生し、また観賞用として庭に栽培されます。晩秋から初冬の頃、菊に似た黄色い頭状花を咲かせます。

では、俳句です。

淋しさの眼の行く方やつはの花       蓼太

静かなる月日の庭や石蕗の花       高浜虚子

石蕗咲けりいつも泥靴と並びたる       加藤楸邨

石蕗の花突き出してゐる日向かな       清崎敏郎


ツワ


「藪柑子(ヤブコウジ)・十両・山橘(やまたちばな)」は、俳句歳時記の季語「冬・三冬」です。

「藪柑子(ヤブコウジ)・十両・山橘(やまたちばな)」は、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木。林内に自生し、また盆栽などで観賞されます。別名「十両」、古名「山橘(やまたちばな)」。

この雪の消残るときにいざ行かな
山橘の実の照るも見む    万葉集巻十九 大伴家持

では、俳句です。

藪柑子抜けば小石に根ありけり       峰青嵐

樹のうろの藪柑子にも実の一つ       飯田蛇笏

実が二つ尚ほ双葉にて藪柑子       水原秋櫻子

藪柑子夢のなかにも陽が差して       桜井博道


ヤブコウジ


「枯芝」は、俳句歳時記の季語「冬・三冬」です。

芝が枯れている様が、「枯芝」になります。日本古来の芝は枯れますが、冬でも青々としているものは洋芝です。

では、俳句です。

閑庭や芝かれてねむる鴨ふたつ       水原秋櫻子

枯芝の密青芝の密のまま       山口誓子

枯芝に身を置く心澄ましむと       加藤楸邨

枯芝にいのるがごとく球据ゆる       横山白虹

兄いもといつも一緒に枯芝に       安住敦


枯芝_convert_20161030192542


「枯葎(かれむぐら)」は、俳句歳時記の季語「冬・三冬」です。

「葎」は生い茂る蔓(つる)性の雑草で、その枯れた様が「枯葎(かれむぐら)」になります。

では、俳句です。

あたたかな雨がふるなり枯葎       正岡子規

生ながらいなご凍てゆく枯葎       伊東月草

音立てて枯葎出る蜻蛉(とんぼ)かな     大森桐明

ものの影ばさと置きたる枯葎       木下夕爾




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