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「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 松根東洋城
黛(まゆずみ)を濃うせよ草は芳しき
絶壁に眉つけて飲む清水かな
水温みけり藻を出づる鯰かな
燭(とぼ)し看る雪眞暗さとなりにけり
泳ぎ子は歸らぬ蟬の夕日かな
うすものや月光玉の肌にあり
煮凝(にこごり)を箸に上ぐるや山動く
わだつみへ神の落しゝ海鼠(なまこ)かな
かたまつて曼珠沙華さく土淋し
秋淋し螽(いなご)を燒けば薄煙
雉子の頬やいつの夕陽の染めし紅
まひまひの舞ひやむ天地静かかな
石段に風の絶えたる落葉かな
大空に小鳥の道や秋最中
淋しさや祭の浦のつなぎ舟
鮎落ちし岩の尖りとなりにけり