富安風生俳句集1
草の花
鍛冶の火を浴びて四葩の静かかな
朝寒や気鑵車ぬくく顔を過ぐ
真向ひにぢつととまれる金魚かな
真下なる天龍川や蕨狩
見えがくれ居て花こぼす目白かな
鉦叩きたたきやめたる蟲の声
一もとの姥子の宿の遅櫻
蜩やいつしか園の径ならず
大いなる幹のうしろの霧の海
四阿にとりためありし零余子かな
鍛冶の火を浴びて四葩の静かかな
朝寒や気鑵車ぬくく顔を過ぐ
真向ひにぢつととまれる金魚かな
真下なる天龍川や蕨狩
見えがくれ居て花こぼす目白かな
鉦叩きたたきやめたる蟲の声
一もとの姥子の宿の遅櫻
蜩やいつしか園の径ならず
大いなる幹のうしろの霧の海
四阿にとりためありし零余子かな
富安風生俳句集2
夏山の立ちはだかれる軒端かな
蝶低し葵の花の低ければ
淋しさの蚊帳釣草を割きにけり
蟋蟀の親子来てをる猫の飯
蓮根掘夕焼け面をあげにけり
足跡の千鳥の中の烏かな
みちのくの伊達の郡の春田かな
一蔓を伝はり来り滴れる
秋晴や窓掛赤き子供部屋
よろこべばしきりに落つる木の実かな
蝶低し葵の花の低ければ
淋しさの蚊帳釣草を割きにけり
蟋蟀の親子来てをる猫の飯
蓮根掘夕焼け面をあげにけり
足跡の千鳥の中の烏かな
みちのくの伊達の郡の春田かな
一蔓を伝はり来り滴れる
秋晴や窓掛赤き子供部屋
よろこべばしきりに落つる木の実かな
富安風生俳句集4
十三夜
退屈なガソリンガール柳の芽
蛍くれし子に何がなと思へども
何もかも知つてをるなり竈猫
春煖炉名画の女犬を抱く
ものの芽に跼めば猫も来て跼む
葛の蔓隔たる棚に渡らむと
石階の二つの蜥蜴相知らず
秋風に鳴る風鈴は道しるべ
青麦や烏が歩く頭見ゆ
泡一つ抱いてはなさぬ水中花
退屈なガソリンガール柳の芽
蛍くれし子に何がなと思へども
何もかも知つてをるなり竈猫
春煖炉名画の女犬を抱く
ものの芽に跼めば猫も来て跼む
葛の蔓隔たる棚に渡らむと
石階の二つの蜥蜴相知らず
秋風に鳴る風鈴は道しるべ
青麦や烏が歩く頭見ゆ
泡一つ抱いてはなさぬ水中花
富安風生俳句集5
山百合を捧げて泳ぎ来る子あり
人見るをよろこび泳ぐ山の子等
立ちよろめき女等興ず遊び舟
草刈女立ちて見てをる舟出かな
道ばたに伏して小菊の情あり
座布団に薄の絮が来てとまる
芙蓉枯れ枯るるもの枯れつくしたり
人見るをよろこび泳ぐ山の子等
立ちよろめき女等興ず遊び舟
草刈女立ちて見てをる舟出かな
道ばたに伏して小菊の情あり
座布団に薄の絮が来てとまる
芙蓉枯れ枯るるもの枯れつくしたり