<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 川端茅舎

川端茅舎俳句集1

川端茅舎句集

露散るや提灯の字のこんばんは

白露に阿吽の旭さしにけり

桔梗の露きびきびとありにけり

金剛の露ひとつぶや石の上

露の玉蟻たぢたぢとなりにけり


白露に薄薔薇色の土龍(もぐら)の掌

日輪に露に土龍は掌を合せ

新涼や白きてのひらあしのうら

二三点灯りし森へ月の道

森を出て花嫁来るよ月の道

川端茅舎俳句集2

御空より発止と鵙や菊日和

下り鮎一聯過ぎぬ薊かげ

蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ

葡萄棚洩るゝ日影の微塵かな

亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄


芋腹をたゝいて歓喜童子かな

八方を睨める軍鶏や芋畑

明暗を重ねて月の芭蕉かな

時雨来と水無瀬の音を聴きにけり

かぐはしや時雨すぎたる歯朶の谷

川端茅舎俳句集3

しぐるゝや目鼻もわかず火吹竹

時雨鳩わが肩に来て頬に触れ

しんしんと雪降る空に鳶の笛

一枚の餅のごとくに雪残る

凩の中に灯りぬ閻魔堂


寒月の通天わたるひとりかな

銀杏ちる童男童女ひざまづき

うちなびき音こそなけれ枯芒

たらたらと日が真赤ぞよ大根引

生馬の身を大根でうづめけり

川端茅舎俳句集4

大根馬菩薩面して眼になみだ

大根引身を柔らかに伸ばしけり

大根馬かなしき前歯見せにけり

初凪の岩より舟に乗れと云ふ

初富士や崖の鵯どり谺して


暖かや飴の中から桃太郎

麗かや松を離るゝ鳶の笛

春暁や音もたてずに牡丹雪

春天に鳩をあげたる伽藍かな

春泥に子等のちんぽこならびけり

川端茅舎俳句集5

草摘に光り輝く運河かな

広縁や囀り合へる右左

燕や烈風に打つ白き腹

揚雲雀花の庵の厨より

啓蟄を啣へて雀飛びにけり


漣(さざなみ)の中に動かず蛙の目

蛙の目越えて漣またさざなみ

こまごまと白き歯並や櫻鯛

水門に少年の日の柳鮠

蜂の尻ふわふわと針をさめけり

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