<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 小林一茶

一茶俳句 新年・春一

新年
あつさりと春は来にけり浅黄空
土蔵から筋違いにさすはつ日哉
正月や梅のかはりの大吹雪
鳴く猫に赤ん目をして手まり哉

春一
雪とけて村いっぱいの子どもかな
雪とけてくりくりしたる月夜哉
春雨や家鴨よちよち門歩き
春雨や喰はれ残りの鴨が鳴く
春雨や牛にひかれて善光寺

一茶俳句 春二

春の日や雪隠草履の新しき
うら門のひとりでに開く日永哉
畠打ちや子が這ひ歩くつくし原
夕燕我には翌のあてはなき
痩蛙まけるな一茶是に有り

田に畠てんてん舞ひの小てふ哉
それ虻に世話をやかすな障子窓
地車におつぴしがれし菫哉
あたら身を佛になすな花に酒
けろりくわんとして烏と柳哉

一茶俳句 夏一

大空の見事に暮るる暑さ哉
蕗の葉にぽんと穴あく暑さ哉
暑き夜の荷と荷の間に寝たりけり
芭蕉様の脛をかじつて夕涼み
涼風や力一ぱいきりぎりす

涼風の曲りくねつて来たりけり
大の字に寝て涼しさよ寂しさよ
しづかさや湖水の底の雲のみね
稽古笛田はことごとく青みけり
はつ袷にくまれ盛りにはやくなれ

一茶俳句 夏二

江戸住みや二階の窓の初のぼり
湯上りの尻にべつたり菖蒲かな
手にとれば歩きたくなる扇哉
武士町や四角四面に水を蒔く
一番に乙鳥のくぐるちのわ哉

歩きながらに唐傘ほせばほととぎす
蟾どのの妻やまつらん子鳴くらん
隙人や蚊が出た出たと触れ歩く
やれ打つな蠅が手をすり足をする
蚤のあとそれもわかきはうつくしき

一茶俳句 夏三・秋一

夏三
蜘蛛の子はみなちりぢりの身すぎ哉
夕月や大肌ぬいでかたつむり
筍のうんぷてんぷの出所哉
花げしのふはつくやうな前歯哉

秋一
うそ寒や蚯蚓の歌も一夜づつ
秋の夜や旅の男の針仕事
木曽山に流れ入りけり天の川
山里は汁の中迄名月ぞ
小言いふ相手もあらばけふの月

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