<> 「たのしみは 春夏秋冬季語に逢ひ 詩歌管絃游びゐるとき」 @歌童 独楽吟 歌童撰

独楽吟 歌童撰

2010.2/18(木)

久しぶりの日差し、まぶしい。

日暮れが遅くなったような感じませんか?
「日脚伸ぶ」ですね。

さて、このブログのタイトル「たのしみは~とき」は、橘曙覧(たちばなのあけみ)の短歌の本歌取りです。
彼の歌集の中に、『独楽吟(どくらくぎん)』と題して全五十二首、「たのしみは」で始まり「時(とき)」で終わる短歌が並んでいます。
そこから歌童が十二首選びました。ご鑑賞ください。

たのしみは 艸(くさ)のいほりの筵(むしろ)敷きひとりこころを静めをるとき
書3
たのしみは 紙をひろげてとる筆の思ひの外に能)(よ)くかけし時

たのしみは 妻子むつまじくうちつどい頭ならべて物をくふ時

たのしみは 朝起きいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時
煙草
たのしみは 心にうかぶはかなごと思ひつづけて煙艸(たばこ)すふとき

たのしみは 常に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に鳴きしとき

たのしみは まれに魚煮て児等皆がうましうましといひて食ふ時

たのしみは 銭なくなりてわびをるに人の来たりて銭くれし時

たのしみは とぼしきままに人集め酒飲め物を食へといふ時田楽

たのしみは 機(はた)おりたてて新しきころもを縫て妻が着する時

たのしみは つねに好める焼豆腐うまく烹(に)たてて食せけるとき

たのしみは 庭にうゑたる春秋の花のさかりにあへる時々


ほのぼの、ほのぼの…。


☆ 底本には、歌童所蔵の『新修 橘曙覧全集』桜楓社刊、を用いました。橘曙覧の長男井手今滋氏が編者、 昭和五十八年五月二十五日初版本です。

☆ より読みやすくするために、ふりがな・送り仮名は底本を補っております。

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