【夏の俳句 蝉時雨】
蝉時雨
京都歩くけふいちにちの蝉時雨
あめんぼ急ぐ水輪つくつて飛びこえて
万緑やどこ指さすもあをみどり
薔薇の園孤りの刺を抜きにけり

顔の辺のかをるやバラを離れても
風のまま穂のまま梅雨の花落ちぬ
青梅雨やあゆみゆく夜のかぐはしく
星キラリ六月の雲切れにける
煙草火はしんじつうつつ蛍火も
国立(くにたち)の梅雨学童ら傘カラフル
もぢもぢともぢもぢ籠の羽抜鳥
ハンケチのいちまい流れ雲の峰
青柿の落ちたる音や土に消え
曠野(あらの)行く指に尺取あそばせつ
病葉の落ちくる音の落ちにけり
ゴンドラがゆく岩燕ひるがへる
ひらくたび花火のまはり雲が湧き

ガラス拭き西日の右手よくうごく
雷とほく舟小屋は綱ゆれてゐる
岩魚焼く煙の先や換気扇
夏果つと貝殻しまふ硝子器に


京都歩くけふいちにちの蝉時雨
あめんぼ急ぐ水輪つくつて飛びこえて
万緑やどこ指さすもあをみどり
薔薇の園孤りの刺を抜きにけり

顔の辺のかをるやバラを離れても
風のまま穂のまま梅雨の花落ちぬ
青梅雨やあゆみゆく夜のかぐはしく
星キラリ六月の雲切れにける
煙草火はしんじつうつつ蛍火も

国立(くにたち)の梅雨学童ら傘カラフル
もぢもぢともぢもぢ籠の羽抜鳥
ハンケチのいちまい流れ雲の峰
青柿の落ちたる音や土に消え

曠野(あらの)行く指に尺取あそばせつ
病葉の落ちくる音の落ちにけり
ゴンドラがゆく岩燕ひるがへる
ひらくたび花火のまはり雲が湧き

ガラス拭き西日の右手よくうごく
雷とほく舟小屋は綱ゆれてゐる
岩魚焼く煙の先や換気扇
夏果つと貝殻しまふ硝子器に
