有名俳句 俳人別 歌童撰 俳人名五十音順⑬
山口誓子
流氷や宗谷の門波荒れやまず
唐太の天ぞ垂れたり鰊群来
夏草に機缶車の車輪来て止る
眼のなかの秋の白雲あふれ去る
夏の河赤き鉄鎖のはし浸る
蟋蟀が深き地中を覗き込む
つきぬけて天上の紺曼珠沙華
海に出て木枯帰るところなし
土堤を外れ枯野の犬となりゆけり
炎天の遠き帆やわがこころの帆
鶫死して翅拡ぐるに任せたり
山口青邨
みちのくの淋代の浜若布寄す
祖母山も傾山も夕立かな
外套の裏は緋なりき明治の雪
渡辺水巴
天渺々笑ひたくなりし枯野かな
ひとすぢの秋風なりし蚊遣香
てのひらに落花とまらぬ月夜かな
かたまつて薄き光の菫かな
うすめても花の匂の葛湯かな
流氷や宗谷の門波荒れやまず
唐太の天ぞ垂れたり鰊群来
夏草に機缶車の車輪来て止る
眼のなかの秋の白雲あふれ去る
夏の河赤き鉄鎖のはし浸る
蟋蟀が深き地中を覗き込む
つきぬけて天上の紺曼珠沙華
海に出て木枯帰るところなし
土堤を外れ枯野の犬となりゆけり
炎天の遠き帆やわがこころの帆
鶫死して翅拡ぐるに任せたり
山口青邨
みちのくの淋代の浜若布寄す
祖母山も傾山も夕立かな
外套の裏は緋なりき明治の雪
渡辺水巴
天渺々笑ひたくなりし枯野かな
ひとすぢの秋風なりし蚊遣香
てのひらに落花とまらぬ月夜かな
かたまつて薄き光の菫かな
うすめても花の匂の葛湯かな
有名俳句 俳人別 歌童撰 俳人名五十音順⑫
村上鬼城
花散るや耳ふつて馬おとなしき
野を焼くやぽつんぽつんと雨至る
冬蜂の死にどころなく歩きけり
ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな
鷹のつらきびしく老いて哀れなり
室生犀星
青梅の臀うつくしくそろひけり
沓かけや秋日にのびる馬の顔
鯛の骨たたみにひろふ夜寒かな
ゆきふるといひしばかりの人しづか
森澄雄
冬の日の海に没る音をきかんとす
磧にて白桃むけば水過ぎゆく
雪国に子を生んでこの深まなざし
雁の数渡りて空に水尾もなし
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに
すぐ覚めし昼寝の夢に鯉の髭
大年の法然院に笹子ゐる
さるすべり美しかりし与謝郡
花散るや耳ふつて馬おとなしき
野を焼くやぽつんぽつんと雨至る
冬蜂の死にどころなく歩きけり
ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな
鷹のつらきびしく老いて哀れなり
室生犀星
青梅の臀うつくしくそろひけり
沓かけや秋日にのびる馬の顔
鯛の骨たたみにひろふ夜寒かな
ゆきふるといひしばかりの人しづか
森澄雄
冬の日の海に没る音をきかんとす
磧にて白桃むけば水過ぎゆく
雪国に子を生んでこの深まなざし
雁の数渡りて空に水尾もなし
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに
すぐ覚めし昼寝の夢に鯉の髭
大年の法然院に笹子ゐる
さるすべり美しかりし与謝郡
有名俳句 俳人別 歌童撰 俳人名五十音順⑪
松本たかし
とつぷりと後暮れゐし焚火かな
雨音のかむさりにけり虫の宿
静かなる自在の揺れや十三夜
羅をゆるやかに着て崩れざる
金魚大鱗夕焼けの空の如きあり
遊女屋の使はぬ部屋の秋の暮
花散るや鼓あつかふ膝の上
我が庭の良夜の薄湧く如し
水原秋櫻子
春惜むおんすがたこそとこしなへ
蟇ないて唐招提寺春いづこ
来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり
葛飾や桃の籬も水田べり
梨咲くと葛飾の野はとの曇り
この沢やいま大瑠璃のこゑひとつ
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々
萩の風何か急かるる何ならむ
とつぷりと後暮れゐし焚火かな
雨音のかむさりにけり虫の宿
静かなる自在の揺れや十三夜
羅をゆるやかに着て崩れざる
金魚大鱗夕焼けの空の如きあり
遊女屋の使はぬ部屋の秋の暮
花散るや鼓あつかふ膝の上
我が庭の良夜の薄湧く如し
水原秋櫻子
春惜むおんすがたこそとこしなへ
蟇ないて唐招提寺春いづこ
来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり
葛飾や桃の籬も水田べり
梨咲くと葛飾の野はとの曇り
この沢やいま大瑠璃のこゑひとつ
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々
萩の風何か急かるる何ならむ
有名俳句 俳人別 歌童撰 俳人名五十音順⑩
細見綾子
つばめつばめ泥が好きなる燕かな
きさらぎが眉のあたりに来る如し
鶏頭を三尺離れもの思ふ
くれなゐの色を見てゐる寒さかな
雪解川烏賊を喰ふ時目にあふれ
古九谷の深むらさきも雁の頃
前田普羅
春更けて諸鳥なくや雲の上
春尽きて山みな甲斐に走りけり
雪解川名山けづる響きかな
茅枯れてみづがき山は蒼天に入る
駒ケ嶽凍てて巌を落しけり
奥白根かの世の雪をかがやかす
乗鞍のかなた春星かぎりなし
正岡子規
あたゝかな雨がふるなり枯葎
行く我にとゞまる汝に秋二つ
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
いくたびも雪の深さを尋ねけり
ある僧の月も待たずに帰りけり
鶏頭の十四五本もありぬべし
鶏頭のマダイトケナキ野分カナ
毎年よ彼岸の入りに寒いのは
髯剃るヤ上野ノ鐘ノ霞ム日ニ
つばめつばめ泥が好きなる燕かな
きさらぎが眉のあたりに来る如し
鶏頭を三尺離れもの思ふ
くれなゐの色を見てゐる寒さかな
雪解川烏賊を喰ふ時目にあふれ
古九谷の深むらさきも雁の頃
前田普羅
春更けて諸鳥なくや雲の上
春尽きて山みな甲斐に走りけり
雪解川名山けづる響きかな
茅枯れてみづがき山は蒼天に入る
駒ケ嶽凍てて巌を落しけり
奥白根かの世の雪をかがやかす
乗鞍のかなた春星かぎりなし
正岡子規
あたゝかな雨がふるなり枯葎
行く我にとゞまる汝に秋二つ
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
いくたびも雪の深さを尋ねけり
ある僧の月も待たずに帰りけり
鶏頭の十四五本もありぬべし
鶏頭のマダイトケナキ野分カナ
毎年よ彼岸の入りに寒いのは
髯剃るヤ上野ノ鐘ノ霞ム日ニ
有名俳句 俳人別 歌童撰 俳人名五十音順⑨
長谷川素逝
ふりむけば障子の桟に夜の深さ
咲きあふれひとつの花をこぼすなし
大木の芽吹かんとするしづかなり
かさといふ音の落葉の闇うごく
ますぐなる音の木の実の前に落つ
原石鼎
頂上や殊に野菊の吹かれ居り
蔓踏んで一山の露動きけり
筑紫路はあれちのぎくにのわきかな
秋風や模様の違ふ皿二つ
けさ秋の一帆生みぬ中の海
もろもろの木に降る春の霰かな
雪に来て見事な鳥のだまり居る
晴天や白き五弁の梨の花
蜘蛛消えて只大空の相模灘
ふりむけば障子の桟に夜の深さ
咲きあふれひとつの花をこぼすなし
大木の芽吹かんとするしづかなり
かさといふ音の落葉の闇うごく
ますぐなる音の木の実の前に落つ
原石鼎
頂上や殊に野菊の吹かれ居り
蔓踏んで一山の露動きけり
筑紫路はあれちのぎくにのわきかな
秋風や模様の違ふ皿二つ
けさ秋の一帆生みぬ中の海
もろもろの木に降る春の霰かな
雪に来て見事な鳥のだまり居る
晴天や白き五弁の梨の花
蜘蛛消えて只大空の相模灘